入り口でひなあられを買い求め、雛人形の並べられた通路を抜けたらそこではカルピスが売られていた。
「あれって全部結婚式なのかしら」
「あー? あぁ、どうなんですかね」
「……ずっとあの格好で暮らしてる?」
「普段着ではないでしょうねぇ」
「子どもの時も出たけどさ、ひなあられとカルピス。人形のこと覚えてないんだよね。立体じゃなかった気がする」
「こいのぼりを折らされた気が」
「あー、折ったかも。おひなさま折ったかも……なんで桃だと結婚式で、端午の節句は鯉なの!?」
「あれも家族でしたよ、確か」
「あー……そっか。でも、結婚式も、子どもも、見ないね」
「見ないですね」
「子どもの頃にしか子ども見てない」
「子どもの頃にはいっぱいいましたけどね」
「ね」