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たぐらかす。

たぐる、ちらかす、はぐらかす。

ひとりであるいている

ハイクより 難燃過護

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強盗に怯える男が、家を手に入れた。学習能力を持つ最新監視機能を備えているというふれこみで、警備会社と特別な契約を交わした。男は自分にしか価値はわからないと信じる蒐集物と共に暮らしていた。オートロックに設定した扉が鍵を閉める音を毎日確かめながら、男は心底安堵していた。どれだけ自分が鍵を閉め忘れても、もしわざと鍵を開けたままでいたとしても、勝手な侵入が行われることはないだろう。果たして監視機能は学習能力をフル活用し、男が心の底のそこに押し込めていた、この誇らしい蒐集物への理解を分かち合える誰かを希求する、それが強盗であっても構わない気持ちを見事に察知して、通りすがりの人間を丁寧に屋内へ招き入れることに成功した。閉まっていた鍵は音もなく開けられ、待望の客人は家の主人に会わぬまま魅入られたようにコレクションのいくつかを手に握りしめて何処かへ去り、そして鍵はまた静かに閉まった。警察は首を振り、警備会社は二度と同じ契約を交わすことはなかった。けれども家には秘密の値段が付けられて、まるで誰かが住んでいるかのように時々手が入る。

 

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