たぐらかす。

たぐる、ちらかす、はぐらかす。

(なつのいろいろ)

f:id:neguran0:20160801222838p:plain

f:id:neguran0:20160803003301p:plain

f:id:neguran0:20160803200033p:plain

f:id:neguran0:20160806015638p:plain

 

 

f:id:neguran0:20160809233640p:plain

f:id:neguran0:20160810013227p:plain

 

f:id:neguran0:20160810215030p:plain

f:id:neguran0:20160818211227p:plain

f:id:neguran0:20160817000736p:plain

 ちょっと大きい風呂屋に行くと、出張髪切りがいる。
「なんかまた切られちゃったんだけど、どう変わったかもうわかんない」

ひとりごとのような声につられて、しげしげと見れば短くなったということはわかる。変わり映えは、しない。

「……とりあえずその美容師に同情しておきます」
「わたしどうして風呂上がりにいっつもつかまるんだろ」
「あの人達はそれが仕事ですからね」
「君つかまったことある?」
「頼むのは自分からですねえ」
「最近切ってなくない?」
「今刈ってきてもらったんですが」
「えっあっほんとだ後ろが短い、前髪は?」
「あー…もしかしたら後ろだけだったかもですね」

「ん? なんで? 伸ばすの?」
「いや、まあたまたま」

 申し訳ないがもうこれ以上時間を掛けたくない、しびれを切らして言ってしまった。無礼な客もいたものだ。それが自分とは。丁寧な髪切りだった。じゃあこのまま整えますよ、と何事もないかのように鋏を動かしていた。前髪はすぐ重くなる。そうしたらまた髪を切るために時間を分けなければいけないのに。落ち着かない。ずっと落ち着かない。

合流

f:id:neguran0:20160621205006p:plain

「こういうの頼むのめずらしいねえ」

 覗き込まれたガラスポットの中で明るい緑が揺らめいている。返事をせずにカップへ注ぐ。つい言葉につられて頼んでしまった。湯気を吸い込みながら口をつける。メニューに書かれていた名を頭の中で唱えながら。リラックス。リラックスハーブティー。本当に?

 リラックスできない原因が、こちらの挙動を眺めている。三口飲んでカップを置いた。

「いい匂いする?」

「え? ああ、まあ」

「ふーん。……ちょっといい?」

 返事を待たずにするりと伸びてきた両手がカップを持ち去る。きらきらと、閃く水面がその掌を照らす。

「ああ。いい匂い」

 細めた眼と頬笑みがそのままカップに近づいて、僕は小さく声を上げたのかも知れない。

「あ、ごめん、飲んじゃだめだった? おいしいねこれ」

「いえ。いいです。あげます」

 

f:id:neguran0:20160623212802p:plain

f:id:neguran0:20160624011025p:plain

f:id:neguran0:20160625022359p:plain

f:id:neguran0:20160626023450p:plain

f:id:neguran0:20160628162121p:plain

f:id:neguran0:20160629181410p:plain

f:id:neguran0:20160630125351p:plain